2012年7月
笠間のやきものについて
「神楽坂 暮らす。」では、「日本の手仕事」をテーマに、
日本各地さまざまな産地で作られたうつわたちを、ご紹介しています。
みなさんには、「暮らす。」のうつわたちの出自を知ってもらいたいと思い、
このカテゴリでは、少しずつ、制作現場(産地)や作り手のお話をしていく予定です。
今日は、東京からもっとも近い陶郷・笠間(茨城県)の成り立ちと、
その現状についてのお話。
さて。
古代から中世を通して、やきもの作りは愛知県以西が盛んで、
関東地方ではあまり盛んではありませんでした。
江戸時代半ば以前の日本では、文化の中心は一貫して畿内だったので、
わざわざ遠い関東で窯業を始める必要などなかったのです。
東日本では、やきもの自体を「瀬戸物」と呼んでいるくらいでして、
日本の窯業の中心は、瀬戸と美濃だったわけです。
ただ江戸時代も半ばになり社会が安定すると、江戸の都市経済は拡大し、
それにつれて、日常雑器などのやきものの需要も急増することになります。
そこで、常陸国(茨城県)の箱田村の名主は、古窯・信楽から陶工を招き、
江戸向けに、地元の土を使ったやきものを作り始めました。
これが笠間焼の始まり、18世紀のことだそうです。
その後は笠間藩の庇護を受けて、日常雑器を作る一大産業としての地歩を固め、
明治以降も引き続き、東京の経済成長とともに発展していきます。
さらに戦後になると、生活レベルの向上に伴い、芸術性の高い器の需要が増加。
このような状況で、若い陶芸家たちが笠間に築窯するようになり、
個性的な作風の作品を生み出すようになっていきました。
そんな経緯から、現在、笠間焼は「特徴がないのが特徴」だと言われます。
釉薬の色や景色で魅せる器もあれば、繊細な絵付けの器もある。
素朴なものもあれば、モダンなものもあるわけで。
作家たちが進取性に富み、伝統的な素材や技法に拘泥しないため、
「笠間と言えば、コレ!」という顕著な特徴が見られないのです。
それは、裏返してみれば、
ほかの産地に比べて、制作環境が自由だということの証左なのかもしれません。
現在も、笠間とその近郊にはたくさんの作家が住み、製陶所もあります。
毎年ゴールデンウィークには、「陶炎祭(ひまつり)」が開催され、
作り手たちが直接作品を販売する場になっています。
昨年3月11日の東日本大震災では、笠間は、関東でもっとも激しく揺れ、
深刻な被害を出してしまいました。
それでも、去年も今年も「陶炎祭」は開催され、
作り手たちは、復興に向けてその雄姿を見せてくれました。
現在、「神楽坂 暮らす。」でお取扱いしている笠間の作家は、出町光識さん。
さらに秋以降は、
鴨瑞久さん・暁子さんご夫婦の作品も、続々登場する予定です。
店主は、これからも、
笠間の作家の動きに注目していきたいと思っています。
(次回・益子につづく)
(2012年7月30日)
神楽坂のタウン誌「かぐらむら63号」掲載のご案内
隔月刊の神楽坂のタウン誌「かぐらむら」の最新号、
8月と9月の情報が満載の63号が、昨日発行されました。
神楽坂の商店街、そして、「神楽坂 暮らす。」を含む協賛店で配布を開始しています。
この冊子の中の人気コーナー「まちの時間割」では、
「神楽坂 暮らす。」の今後2か月の企画展情報を載せてもらっています。
8月8日からスタートする「矢来町手ぬぐい店」をはじめとして、
9月に開催されるものも含めて、3つの企画展が掲載されていますよ。
また、本誌の中には「神楽坂 百顔百願」というコーナーがあります。
イラストレーターのおかめ家ゆうこさんが、
神楽坂の街の人々を、猫に擬した似顔絵で紹介する連載ページ。
今号、ここで、店主のはるやまが似顔絵とともに紹介されました!
ほんとうにそっくりで、笑えますので、
神楽坂の商店街で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
ちなみに、この「神楽坂 百顔百願」、
12月には百顔がすべて出揃い、 来年の神楽坂のカレンダーになるそうです。
自分の顔が、神楽坂の顔のひとつとして登場するなんて、ちょっと光栄。
すごく楽しみです。
■店主の個人ブログはこちら>> 神楽坂 器 日和。
■店主のつぶやきはこちら>> 神楽坂 暮らす。
(2012年7月27日)
本日より、神楽坂まつりがはじまります!
神楽坂で迎えるはじめての夏。
二週間ほど前から、神楽坂通りにはお祭りの提灯がずらっと提げられていて、
もうすぐ始まるなあ、などと思ってたのですが。
早いもので、今日からスタート。
商店街のお祭り「神楽坂まつり」は、四日間の日程で開催されます。
今日と明日は、夕方5時半からほおずき市。
毘沙門さんの宵闇に浮かび上がる無数のオレンジのほおずきは、
情緒たっぷりでしょうね。
そして、金曜・土曜は、7時から阿波おどり大会が催されます。
都内では高円寺の阿波おどりが有名だけれど、
われらが神楽坂の阿波おどりも、今回で41回目だそう。
神楽坂下、外堀の内側にある牛込見附の門を、
徳島藩・蜂須賀家が普請した、ということから、
神楽坂まつりでは阿波おどりを踊ることにしたようですよ。
以上、耳から得た知識でお話ししてしまいましたが。
店主も、このお祭りははじめての体験。
町の新参者として、暑さを忘れて楽しんでみたいなあ、と思っております。
さあ、みなさんも、おいでませ、神楽坂へ。
(2012年7月25日)
本日発売のガイドブック「神楽坂さんぽ」で紹介されました。
雑誌「いきいき」の別冊企画だった「神楽坂へ行こう!」が、
単行本「神楽坂さんぽ」として再編集、発売されました。
今回の「~さんぽ」は、前回の「~行こう!」にくらべて、さらにパワーアップ。
美味しいもの、楽しいもの、きれいなもの。
神楽坂を神楽坂たらしめているお店を網羅したガイドブックになっています。
さらに、文化・文学の町である神楽坂の歴史に着目したコラムも掲載。
町や横丁、路地に対するやさしい視点が感じられる、すてきな一冊です。
そして、わが「神楽坂 暮らす。」も、
「第4章 手仕事のギャラリーへ」というコーナーの1ページで紹介されています。
まだこの地で店をはじめて1年にもならないのですが、
神楽坂の町の一員として載せてもらえて、なんともうれしい限り。
簡潔に、そして的確に、店の空気感を伝えてもらっていて、とても好印象。
ありがたいことです。
こちらの「神楽坂さんぽ」(いきいき編集部編)は、
7月13日(金)から、書店にて販売開始しています。
書棚で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
□神楽坂さんぽ(いきいき編集部編) 1050円
■店主の個人ブログはこちら>> 神楽坂 器 日和。
■店主のつぶやきはこちら>> 神楽坂 暮らす。
(2012年7月13日)
土井朋子さんのかわいらしいガラスの作品をUPしました。
土井朋子さんのガラスの作品を、ホームページにUPいたしました。
一枚目の画像は、リスコップとうさこっぷ。
吹きガラスの技術と陶芸的な上絵付けの技術を組み合わせることで、
なんとも面白い、巧まざる表情が生み出されました。
見て楽しく、使って楽しく。
眺めるたびに、にんまりしてしまいそうなユーモラスな表情のグラス二種です。
■ 森の動物のコップ(リス・うさぎ) 各8,400円
そして、二枚目の画像は、「おはなしたまご」という作品。
絵柄は、イギリス童話の「三匹のクマ」をモチーフにしたもの。
クマの家に迷い込んでしまい、お腹がすいてスープを飲んでしまう女の子、
そして、家に帰ろうとして歩いてるクマの親子の姿。
美しい色彩で、かわいらしい絵が描かれています。
中が空洞のたまごに絵付けし、さらにクリアガラスを被せているので、
水晶玉の中に童話が描かれているよう。
合わせ鏡のように、対面に絵が映り込んだりして、
とてもにぎやかな作品です。
窓辺に置いてオブジェとして、またはペーパーウェイトとしても。
絵柄は、「三匹のクマ」のほかに、「ヘンゼルとグレーテル」もありますよ。
■ おはなしたまご・三匹のクマ 19,950円
■ おはなしたまご・ヘンゼルとグレーテル 18,900円
(2012年7月6日)